パーキンソン病は中脳の黒質という神経細胞―機械でいう車輪をスムーズに動かすベアリングの役目をしているようなドーパミンを生産する―に異常なたんぱく質が蓄積し、ドパミンを生産する神経細胞が徐々に失われ歩きにくくなるなどの運動障害や認知症、自律神経障害といった様々な症状がある。京都大学医学部附属病院では30年8月1日よりips細胞によるパーキンソン病の治療に関する治験を始めることが、ニュースで大きく報道されました。友の会としても皆様同様大いに期待するとともに、今後の動向に迅速かつ冷静に対応していかなければならないと感じています。今回の治験は色々な意味で特別であり、主治医の意見、患者・家族の思いと決断、ips研究所・選考者判断で厳選されることと思います。先んずは主治医に相談ください。治験患者の募集に関しいくつかの基準があります。主な基準は次のとおりです。
・薬物治療では症状のコントロールが十分に得られない
・同意取得時の年齢が50歳以上70歳未満である
・抗パーキンソン病薬によるオンとオフが認められる
・オフ時のHoehn&Yahr重症度分類がStageⅢ以上である
・オン時のHoehn&Yahr重症度分類がStageⅢ以下である
なお、この資料は、京都大学医学部附属病院のホームページからプリントアウトしたものです。詳細についてはips細胞パーキンソン病コールセンター(8月6日まで)あるいは京都大学医学部附属病院(8月7日以降)℡ 075-751-3768 9:00~17:00(土・日・祝日を除く)に直接お問い合わせください。
(平成26年5月23日 参議院で可決成立)
難病支援は1972年当時原因不明のスモンが全国的に発生し「難病対策要綱」に基づき研究と医療費助成がなされ、それに基づき各種事業が推進され一定の成果を上げてきた。しかし、原因の解明にほど遠い疾病があったり、研究対象事業や医療費助成の対象になっていないものがあるなど疾患間での不公平や医療費助成について都道府県の超過負担の解消、国民の理解が十分に得られていないこと、療養と生活を支える総合的な対策が不十分である、などのため改革が強く求められていた。
厚労省の難病対策委員会では議論を何回も重ね平成25年1月に「難病対策の改革について(提言)」をとりまとめた。この提言にもとづき難病医療法が今国会で議論された。
●全パ友の会としては国会請願集会(4月11日)を控え内容的に文言を正確にしたいため請願事項を見直し緊急請願事項として次のような内容で提出した。
1.パ病の発症原因解明と治療法研究を促進し、根治治療法の早期確立をしてください
2.難病対策の深刻さにあたって、引き続きパーキンソン病を助成の対象としてください。
高度な医療を継続することによって軽症となっている患者についても医療費助成の
対象としてください。
3.患者・家族等の治療・療養に関する施策には、当事者である患者・家族の声に
耳を傾けて十分に反映したものにしてください。
●国会請願集会:4月11日・12日に参議院会館講堂140名が参加して開催された
●国会での審議日程概要
Ο4月18日 難病医療法案、衆議院厚労委員会全会派賛成で採択
Ο4月22日 衆議院本会議で可決
Ο5月の第2週から参議院で審議入り
Ο5月23日参議院本会議で可決、成立
●難病医療法の概要
①研究事業としての医療費助成制度を法律で位置づけ財源を確保する
②対象は治療法が確立しておらず長期の療養が必要などとする難病で患者数が10数万人(人口の0.1%程度)以下の病気
③助成対象の病気は56~約300(78万人~150万人)に広がる
④施行は平成27年1月
⑤その他の内容
・対象病気、患者の認定基準は今後厚労省の第三者委員会が決定する。軽症者は対象外
・自己負担額は1千円/月~3万円/月(所得や症状により異なる)
・高額な治療が長期間になる患者は軽くなる
・これまでより自己負担が増える場合もでてくる
・全国どこでも治療が受けられるよう「難病医療支援ネットワーク」をつくり情報の提供
・2015年度の医療費は1820億円(国、都道府県1/ずつ)
(パ病友の会京都府支部会報 No.124号)
2025年問題とは?
いわゆる団塊の世代が、後期高齢者となる、75歳に達する年が2025年です。この年が「問題」だとされているのです。
どんなことが起こるのか
全人口に占める75歳以上人口の割合は、2010年には約11%、これが2025年には18%になると推定されています。
65歳以上の高齢者世帯は、2025年には1840万世帯、そのうち一人暮らし世帯は680万世帯になると見込まれています。この人々のうち、健康で快適な生活が送れる方がどれぐらいの割合になるかは、非常に大きな問題です。
また、厚労省資料によると、認知症高齢
者が、2025年には320万人に増えるだろうと推定されています。これにも、介護・支援が必要です。その制度や設備の体制はどうなるのでしょう。
さらに、都道府県別にみると、これからは都市部のほうが超高齢化が急速に進むと、厚労省の資料にも出ています。それによると、2025年の推定値で高齢者人口の増加率が最も高い都道府県は、埼玉、東京、神奈川、千葉、大阪の順になっています。都市部は地方と違って、地域のつながりが弱く、住民同士が支えあうという関係も強くないと思います。こうしたところで、一人暮らしや認知症がふえるとすると、どんな事態になるのでしょうか?
このままでは、孤独死、介護疲れ、介護難民、等々の悲しく寒々しいイメージしか浮かびません。
費用負担はどれぐらい増えるのか?
国民一人当たりの年間医療費は平均で約30万円ですが、後期高齢者の一人当たり医療費は約92万円と、国民平均の3倍になっています。こういう訳で、高齢化が進むと当然医療費がかさみます。
予測されている数値を見てみます。
★医療給付費 2012年 約35兆円
2025年 約54兆円
★介護給付費 2012年 約 8兆円
2025年 約20兆円
(「給付費」というのは費用のこと)
このように医療と介護を合わせた費用は、2025年には74兆円に上ります。現在の国家予算は,100兆円ぐらいですから、この金額の大きさがわかります。
対策はどうなっているのか?
対策の一つは、財源の問題です。保険料や税金のことです。消費税の増税もこの対策の一環ですが、この増税がすべて医療や福祉にまわるかどうか。そして、今すすめられている範囲の対策で済むのかどうか、大いに疑問です。非正規雇用の人が増え、保険料を払わない(払えない)人も増え、保険制度自体がピンチという報道もあります。
病人が急増すると予想されているのですから、病院や医師も増えなければなりません。介護施設や介護従業員も増える必要があります。これらのことも大丈夫なのか、心配です。
考え方を変えなければいけない?
政府や自治体に「何とかして欲しい」という気持ちは当然ありますが、期待が空しくなる可能性もあり得ます。対策が後手後手にまわって、当事者の苦労はいつまでも続くというのは、少子化問題に手を打つ必要性が長期にわたって認識されていたにもかかわらず、保育所問題一ついまだに解決していないという現実を見ても、ありうることです。
そこで、考え方を変えて、高齢者がなるべく病気にならないように、また、すでに病気の方は、より重くなる時期を出来るだけ遅らせるように、いろんな工夫をこらす、ということを、団塊の世代の方々が自分の手と能力で切り開いていけないものかと、期待するわけです(団塊の世代だけに限るわけではありませんが…)。
人口減少と超高齢化という極めて重い事実に、しっかりと向き合う勇気と、これに何とかしていこうという主体性が求められているように思います。 (石川)
(パ病友の会京都支部会報 126)